2026年8月11日(火) 能力が育つのは「授業」ではなく「訓練」
前回のブログで、
鍛えられていない子が多い
と書きました。
中学の勉強で、
授業が理解できないとか、
理解はできるけどテストで点が取れないというのは、
小学校時代の訓練不足によるところが多いと思います。
テストで点が取れないのは、直前のテスト勉強をサボっただけかもしれませんが、
本当にそうなら、それだけを改善すれば成績は上がります。
原因が直前のテスト勉強だけでないならば、
それはこれまでに学習した内容の基礎基本が身についていない場合がほとんどです。
この場合、「これまでに学習した内容」をやり直す、つまり過去の学年にさかのぼって復習し直せば学力は向上するのですが、
問題は、1年前までさかのぼればいいのか、2年前までか、3年前までか…
ということになります。
ここ数年、中学生を見ていて、
本当に小学校時代の訓練不足が深刻だと感じます。
多少成績のいい子でも、「これが身についていないのか!」と驚くことがしばしばです。
成績中位層でも、毎日学校に通っていれば自然と身についているだろうとほとんどの親御さんが思っているような、ごく当たり前のことが身についていません(心配な方はチェックしてみた方がいいかもしれません)。
以前ある方との会話で、途中から勉強の話になりました。その方曰く、
「たいていの教科はジャンル分けされてるから特定のジャンルがダメでも他で挽回できるけど、英語だけは一度脱落したらもうダメですね。」と言われました。
英語については、その通りです。
新しい文法を習うにしても、これまで学習してきたことがすべて必要になるので、それが一部でも頭の中に入っていなければ、新しく習うものができるようにはなりません。
ただし、他の教科について、
例えば数学で、図形が苦手でも方程式は解けるとか、
社会で、鎌倉時代に詳しくなくても安土桃山時代のテストでは満点が取れる
という点については、半分は正しくて、半分は違うと思います。
その理由については、図形だろうが方程式だろうが鎌倉時代だろうが安土桃山時代だろうが、
どんな分野にも共通する必須の知識やスキルがあって、それが身についていなければどれも高得点は取れないということです。
どんな分野にも必須の知識やスキルが身についている、これこそが基礎学力で、これを鍛えるのが小学生年代の勉強のはずです。
小学生の年代ですべき勉強は、一言でいえば「読み書き計算」を核とした基礎の能力を最大限に高めることです。
これには「説明授業」だけはなく、それなりの訓練が必要です。
漢字や英単語だけでなく、社会で覚えなければならない地名等も含めて、言葉の読み書きがスラスラできる。
計算も、「正確に」ではなく「早く正確に」できる。
これらは特定の教科に必要なものを身につけるためだけに行うものではないのです。
繰り返し繰り返し行うことによって、すべての学習において必要な、いろいろな能力が発達してくるのです。
例えば計算ですが、
7+9=16が答えられるだけでは不十分です。
高学年でも未だに指を使って計算している子もいると思いますが、時間がかかって正解できても、それだけではダメです。
瞬時に答えられないといけません(いつも言っている基礎基本スキルの自動化)。
計算が早くできるか、遅いのか、しょっちゅう間違えるのかというのは、
その人の情報処理能力を表します。
社会や理科のテストでも、長い問題文を読んで、グラフや表から情報を読み取って…
というように、短時間での情報処理が求められます。
漢字や熟語が弱いと、授業の説明で「リュウキ」とか「チンコウ」などという言葉が出てきても正確にイメージできないかもしれません。
基礎学力には、読み書きは国語とか、計算は算数・数学とか、地名は社会とかいった、教科の垣根はありません。
どの分野にもすべて必要です。
とにかく小学校に通っているうちは繰り返し繰り返し訓練して、覚えさせる!
訓練しているうちに、中学進学後だけでなく、学校を卒業して社会に出てからも必要となる様々な能力が発達してくる。
その一つが集中力です。
「集中しろ!」と言うだけで身につくものではありません。
思考力とか判断力、あるいは主体性みたいな、若い人たちが上の世代から求められる能力もそうです。
これらも基礎基本の訓練を続けることで発達してくるものです。
覚えるべきものが覚えられていない(知識や経験が不足)のに、「考えろ」と言ったところで思考力なんか育つはずがありません。
これらの能力は「説明授業」では身につきません。
どれだけ詳しい説明を受けても、計算は早くはなりません。
「思考力、表現力、判断力」をつけるのが重要だと盛んに言われ始めた10年ほど前から、
小学校が「覚える」ということに力を入れなくなりました。
鍛えることをやめました。
見た目だけ立派な授業が主流になりました。
小学生のうちにしっかり訓練しておかないと、能力を高める機会を逃してしまいます。
今やってる夏期講習で、中学生はどの学年も過去の学年にさかのぼった復習をしていますが、
数学が苦手な中3生がさかのぼってやり直さなければならないのは、中1・中2の数学だけではないのです。
それだけで済めばいいのですが、算数も必要かもしれません。そして基礎学力が低いのであれば、基礎学力に教科の垣根はないので、小学校の漢字の読み書きとか、国名や都道府県などの地名を覚えるところからやり直すことも必要な人が多いです。
必要な能力が育っていなければ、テストの問題に挑んでも能力が追い付かないので、問題文を読んでから回答するまでのどこかの工程でエラーが起こります(エラーは自動化できていないものを高速で行おうとしたときに無理が生じて起こる)。
いくら夏休みが長いからといって、中学生が小学校まで遡ってやり直して、繰り返す時間まで含めると…(以下略)。
小学生のうちに訓練しておかないと大損します。小学生のうちはとにかく基礎基本が自動化できるまで反復訓練をこれでもかってくらい繰り返すことが重要です!
これからも訓練形式の授業に徹したいと思います。
